日本におけるiPhoneのメリット、デメリット考察

iPhone 3GSの発売と伴い、iPhoneの購入を検討する日本人は少なくないだろう、ならどうして世界で大ヒットしたiPhoneは日本での売上はそれらの国と比べてそんなに好調ではないか、日本でiPhoneを本当に購入するべきか、本文は「日本」という特別な市場についていろいろ分析し、iPhoneのメリットとデメリットを導き出させていただきます
けれども自分一人ではやはり情報も豊富なわけでもないので、これはあくまで個人的考察であり、iPhoneに購入について悩む人にとって少しでも参考になれればと
そしてなんと言っても自分も留学生であり、日本の携帯市場についてはそこまで詳しいわけでもないので、何か間違ったらご指摘いただければうれしいです

まず、なぜ世界で大ヒットしたiPhoneは日本だけでそこまで売れたわけではないのか？これは日本という携帯市場はそこまで世界の携帯市場が違っているわけ。外国では、携帯市場の主導は携帯電話キャリアではなく、携帯電話のメーカーなのだ。
これはどうしてそんなに違うのであろう？例を挙げれば分かると思う。例えば日本の場合、ほとんどはキャリアから携帯電話を販売している、その上メーカーに対しては「注文」のような形で、自分の行いたいサービスや機能をメーカーにはっきり言い、そしてそのサービスや機能に対してどうすればいいかメーカーが検討し、そして携帯電話を作っているわけ。例えば今回NTTドコモの目玉機能の一つは「オートGPS」であり、もちろんドコモはあくまでキャリアであり、携帯電話の製造など一切行っていないので、各メーカー自らこの機能を自分の携帯に追加しないといけないわけ。

そこで外国ではどうなっているのだろう？例えば中国の場合、キャリアは自分のネットワーク以外のこと一切触れないので、メーカーにとってはかなり自由であり、法律さえ従っていれば（電磁波の基準など）やりたい放題と言っても過言ではないだろう。（ちなみに中国の場合、キャリアは携帯電話の販売も一切行っていないので、携帯ショップへ行ってどの携帯電話買っても通信方式さえ一致すればどのキャリアでも使えるわけ、そしてアメリカではキャリア自分も携帯電話を販売しているが、普通の携帯電話の店でも販売している）

つまり、外国では、メーカーはかなり自由に携帯電話を作れ、自分の好き勝手に機能を詰め込んだらいい反面、キャリアからの支援が少なく、サービス面についてはメーカー自分がしにくい点がある、一方、日本の場合キャリアが主導であるため、機能面ではキャリアからメーカーへ注文のような形にしなければならないけど、サービス面はある程度自由であり、独自のサービスも少なくない。
一番簡単な例はメールであろう、日本の携帯メールはキャリア自ら行うサービスであるため、プッシュメールと言ったメールがあったらすぐ自動的にダウンロードし、通知してくれるメールサービスは、外国ではほとんどキャリアが行わないので、ユーザ自分がプッシュメールの対応する電子メールプロバイダー（Yahoo IMAP Mailなど）に申請し、そしてプッシュメールの対応するスマートホンを使わなければならない現状に対し、日本では今ほとんどの携帯電話がプッシュメールに対応であり、その理由はもちろんキャリアが主導なので、メーカーにはこうして欲しいと言えるわけ。ちなみにアメリカや中国では未だにSMSとMMSが主流であり、メールはあまり携帯に使われていないのが現状だ
このようなサービスの中で、iPhone非対応の一番不便なのはおよそ携帯向けサイト（ドコモならiモード、ソフトバンクならYahoo!ケータイ）だろう、日本ではかなりの携帯向けコンテンツ（例えば着うた）は携帯向けサイトで公開されているので、携帯向けサイトの読み取りできないiPhoneはかなり不便である
また、余談でもあるが、もちろんiPhoneは日本独自の規格の着メロや着うたにも非対応、自分の着信音は自分で作るかiTunes Storeで買うしかない
そしてこのような海外メーカーが非対応なサービスや機能は少なくない、FeliCa（おサイフケータイ）やiコンシェルなど、例はまだまだたくさんある

このように成長してきた日本市場は、外国携帯市場とますます違いが大きくなり、結局外国メーカーの参入はますます少なくなっちゃっている、理由はとても簡単、それらのメーカーは世界シェアを着目しているので、日本という小さい市場のキャリアの要求は受け入れられるもんかというのは彼らの普通の考え方である、そして結局Palm（パーム）やHTCはもちろん、外国ではかなりのシェアを占めているノキアやモトローラさえ日本人には馴染んでいない携帯の名前だろう、日本では有名な外国メーカーと言えばせいぜい韓国のLGくらい、それにそれでもLGは日本市場向けの端末を製造しているからこそ、日本ではそこそこ売れているわけ
これがこれまで海外のメーカーの携帯電話が日本で人気がない原因、キャリアのサービスにほとんど対応していないからますます日本では不便になってしまい、そして最後ノキアと言う世界一のシェアを占めるメーカーまで日本市場から撤退する始末になった

そして、別にキャリアのサービスではないけど、日本ではいろいろ独自の基準があるので、海外メーカーがグローバル向けな商品を作るならどうしても日本には向いてないものがしばしばある、例としてワンセグが挙げられるだろう、ワンセグとは地上デジタルテレビ放送セグメント1の略称であり、残念ながら今日本の地デジ方式を採用したのは南アメリカのいくつかの国だけで、それに携帯向けのワンセグ放送も今の段階では日本しかないので、グローバル向けな端末はわざわざコストを上げて日本だけの規格に対応する機能を搭載するのも無理はあるだろう

また、サービスでも基準でも違うわけではなく、文化的違う点もかなりある、その一つはカメラを挙げられるだろう、日本では最初に発売されたのはiPhone 3GSではなく、iPhone 3Gであり、その機種に搭載されたカメラは2メガ画像のオートフォーカス非対応のカメラであり、日本で発売された時点ではすでに5メガ画像オートフォーカス対応のカメラ搭載が普通であり、最低でも3メガ画像のオートフォーカス対応のカメラであろう
なぜ日本はそこまで携帯のカメラに重視しているのか、原因の一つは日本でほぼ毎日使われているQRCodeにあると思う、実を言うとQRCodeのような二次元コードを読み取るのに、ある程度のいいカメラでないと無理なのだ、そしてその満たさなきゃいけない基準の一つは3メガ画像のオートフォーカス対応であろう
けれどiPhone 3Gのカメラは2メガ画像でしかもオートフォーカス非対応のため、いくらQRCode読み取りアプリを進化させても、ハードの限界があり、正確性は期待できないだろう
実際、QRCode読み取りアプリは当時のAppStoreでもいくつか出されていて、「使える」物は一つもなかったという悲惨な状況だった
そして、iPhone 3GSの発売と伴い、カメラも3メガ画像オートフォーカス対応になり、QRCodeの読み取りの正確性も大幅アップ

カメラと言えばディスプレイも取り上げないわけないだろう、日本人は自覚していないかも知れないけど、実は日本の携帯のディスプレイは世界でもトップレベルであり、サイズ、解像度や表示色数は海外のメーカーと比べかなり上である
もちろん、残念ながらiPhoneのディスプレイはアップル自分がいいつもりかも知れないけど、日本の携帯とは比べものにならないくらいである

そして日本人の馴染んでいる顔文字、絵文字、デコメ、赤外線での連絡帳のやりとりなども海外メーカーの対応はあまり十分ではない（幸いにiPhoneは日本市場のために一部の絵文字に対応し、そんなに多くないけど顔文字の入力も可能である、また連絡帳のやりとりはメールやブルートゥースでできる）

なので、日本の携帯市場は外国とはかなり違っていて、海外メーカーの参入は難しいところがそこにある

そして、iPhoneにとってはもう一つ致命的な弱点がある、それはiPhoneは日本ではソフトバンクによって発売されること、別にソフトバンクの悪口を言うつもりはないけど、残念ながら人口カバー率もネットワークの質もドコモやauには及ばず、前留学生の友達と一緒にカラオケに行くときもソフトバンクの携帯はみんな電波が届かず、自分のドコモの携帯だけが電話もネットもできる事件があった

なら、iPhoneのいいところはどこにあるのだろう？一番最初に挙げられるのはパソコンとの互換性であろう、iTunesでほとんど全ての情報をシンクするため、連絡帳、日程、そして音楽や動画も常に最新の物であり、ユーザに手数をかけずにすむことができる（特に自分が一番感心するのは日程の同期、これは自分が持っている携帯ではパソコンとの同期がかなり不便で、実際自分は常にiPod Touchを持ち歩いている）

そしてネットサーフィン、iPhoneは携帯向けサイトにアクセスできないけれども、パソコン向けのサイトはかなりスムーズに表示でき、操作もしやすい

次になんと言ってもiPhoneはグローバル市場向けだから、グローバル的なサービスにはきちんと対応している、今流行っているTwitterやFacebookもiPhoneはより簡単にアクセスできるし、GTD（Getting Things Done）についても残念ながら日本の携帯はまだまだきちんとした形で使えないけど、iPhoneではかなり優れている（理由の一つはパソコンとのいい互換性にある）

以上をまとめると、日本ではiPhoneのメリットは以下の通り

1. パソコンとの優れた互換性（通常の携帯と比べ）
2. パソコン向けのサイトの閲覧
3. TwitterやFaceBookなど海外では人気のSNSの対応
4. 優れたGTD機能
5. 日程、連絡帳などの管理がしやすい
6. 恐らくどの携帯よりもずっと上な操作しやすさ
7. etc.

そしてデメリットは以下の通り

1. キャリア独自のサービスにほとんど非対応
2. 携帯向けサイト閲覧できない
3. おサイフケータイ非対応
4. 着うた、着メロなど非対応
5. ワンセグ非対応（ただしソフトバンクのiPhone専用ワンセグチューナーあり）
6. etc.

なら、日本でiPhoneは本当に買うべきだろうか？それはもちろん自分自身次第だけど、以上の話をまとめるとこうなる
まず、携帯を一つしか使わないとすれば、非対応なサービスや機能が多すぎるので残念ながらiPhoneは恐らくあなたに向いていない、買ったらあとで後悔しちゃう可能性がかなり高い
そして、あんまり携帯でパソコン向けのサイトにアクセスしようとしない人にもiPhoneはそんなに向いていない、なぜならiPhoneの目玉機能と言えばネットサーフィンであり、しかしそれは残念ながら携帯向けのサイトにはアクセスできず、パソコン向けと日本にはないWAPサイトだけアクセスできる
なので、結論は、日本ではiPhoneはお金の余裕があり（2台もしくはそれ以上の携帯を持てること）、そしてどこでもパソコン向けのサイトにアクセスしたい（ただし残念ながらソフトバンクはネットワークを何とかしてくれないと実際アクセス不能なエリアかなり広い）人ならiPhoneを買ってもいいだろう、ただ自分の身の回りをいつでもどこでも管理できる物、つまり「PDA」のような物だけでいい人はiPod Touchのほうがより向いているかもしれない（もちろんだが、そんな物いらないというなら買わない方がいい、ただのお金の無駄だし、音楽プレーヤー欲しいならほかのiPodシリーズやWalkmanシリーズなどいいものまだまだたくさんある）。そしてこれからアップル流を体験していくつもりでもいいけど、昔ながらのアップルユーザ（MacでもiPodでも）ならより魅力を感じられるのではないか